☆ H-1B申請に関わる費用とその会社負担との関係について
今回は従業員のH-1B申請に関し、雇用主が支払ったその申請に関わる様々な費用を従業員であるビザ受益者の給与からどのように差し引くことができるかについて紹介したいと思います。雇用主の中にはビザ受益者である従業員に対して全額またはその一部を払い戻すよう伝えているようですが、実際にはH-1B申請にかかった費用の払い戻しについては”Authorized Deduction”, “Unauthorized Deduction”, そして”Prohibited Deduction”の3つに区分のもと決定されなければなりません。
まず”Authorized Deduction”についてですが、この控除自体はH-1B申請に必要なPrevailing Wage(平均賃金額)への一切の影響を考慮することなく用いることができます。(平均賃金額:H-1B就労者に対して最低支払わなければならない金額でその金額は仕事のタイプ、就労場所、レベルに応じて変ってきます)。次に”Unauthorized Deduction”ですが、これは実際に雇用主側がビザ受益者の給与から一定の金額を差し引いた後、その金額が平均賃金額より大きい場合に限り可能となります。最後に”Prohibited Deduction”についてですが、これは平均賃金額への影響に関係なく、従業員の給与から差し引くことはできません。H-1B申請における”Prohibited Deduction”の対象となるものは$750または$1500のトレーニング費のみです。このトレーニング費は必ず雇用主またはビザ受益者以外の組織により移民局に対して支払わなければなりません。
労働局により認められているH-1B申請に関わる費用の控除については下記のような条件があります。
1.この控除が行われる場合、従業員の給与明細にその旨の記載が必要である。
2.従業員が自発的にその控除に同意し、その意を同意書として文面で残す。
3.この控除それ自体が基本的にはビザ受益者のBenefitである。
4.控除による雇用主への払い戻しが会社の支出を埋め合わせるものではない。
5.控除額が適正市場価格または実費のいずれか少ない方の金額を上回ってはならない。
6.控除額がビザ受益者の可処分所得額の25%以上となってはならない。
例えばH-1B申請においてビザ受益者が米国の大学以上を卒業していない場合、米国外の教育機関での学歴や職務経験を基にH-1Bを申請することになりますが、その際、評価会社に対しそれら自分の経験がどのような形で米国の学位に相当するか評価を依頼します。通常この評価にかかる費用は“Authorized Deduction”として扱われるべきでしょう。なぜならばその評価事態はビザ受益者のBenefitとなるものであり、例えば今後転職する際にも使用できますし、その他の用途でも個人的に使用できるからです。
またH-1B申請者に家族がいる場合、H-4を申請することになりますが、これら申請に関わる弁護士費用も”Authorized Deduction”となり得るでしょう。更に米国外の大使館または領事館で取得するビザスタンプの弁護士事務所による準備費用についてもその取得自体がビザ受益者に対して有益なものである場合は”Authorized Deduction”となるでしょう。ただし例えばビザ受益者が業務上、多くの海外出張がある場合は、必ずしもビザ受益者にのみ有益となるわけではないので、労働局は恐らくそれを会社側の経費と見なし、ビザ受益者の給与からビザスタンプ準備費用分を差し引くことを認めないでしょう。
このように実際に自分がH-1Bを弁護士事務所等に依頼する場合など、弁護士費用や申請費、トレーニング費やビザスタンプ費などその請求書の詳細には注意が必要です。
H-1B申請には$1000を移民局へ支払うことで短期間で結果を知ることのできるプレミアムプロセッシングという申請方法があります。この費用負担についても実際この申請が会社にとって有益となるのかそれともビザ受益者にとって有益となるのか、それによって扱いが変りますので、しっかりとした見極めが必要となってくるでしょう。
一方、H-1BやLCA(Labor Condition Application)申請に関わる弁護士費用や移民局への申請費用である$190の控除は”Unauthorized”として見なされます。従ってこれら費用は雇用主の経費として見なされることにより“Authorized Deduction”とはなりません。ただし”Authorized Deduction”であることによりその控除後のビザ受益者の給与額が平均賃金額を上回るということであればビザ受益者の給与から差し引くことができるかもしれません。
最後にH-1B申請を会社から新規に申請する場合、$500のFraud費が移民局に対して必要となります。このFraud費はトレーニング費とは違い、はっきりとは”Prohibited Deduction”としては扱われません。従って雇用主は最終的にはビザ受益者より払い戻しを受けることが可能となるかもしれません。もちろん雇用主がこの費用の控除を決めるとすれば”Unauthorized Deduction”にもとめられる条件を満たさなければなりません。
実際に雇用主が払い戻しを行う前に、対象となる金額が上記の3つのうちどれに該当するのか十分理解しなければなりません。
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